市販の歯磨き剤によく含まれているフッ素。子供の歯の検診・治療のため歯科医院を訪れると、たいてい フッ素塗布 も同時に勧められます。なぜ子供の歯にフッ素塗布が必要なのか、そのメリットについてご紹介していきます。
フッ素塗布で虫歯のできにくい歯に
フッ素の働きについて
ふだん何げなくとっている食事でも、食べ物の中に含まれている酸が歯を溶かしてしまう性質を持っています。しかし、通常は唾液の働きでミネラル成分の溶け出しを防いでおり、フッ素はそのミネラル成分の沈着を促し、歯の再石灰化を助けてくれます。
また虫歯菌が酸を作り出す活動を抑制する働きもあり、歯質を強化して酸に溶けにくい歯を作ってくれます。
なぜ子供の歯にフッ素塗布をするか
子供の生えたての乳歯や永久歯は、歯質が弱く虫歯になりやすいものです。また赤ちゃんなど幼い子供への仕上げ磨きの習慣は定着化してきましたが、小学生くらいの子供でもまだ自分で上手に歯磨きをするのは難しいものです。
さらに、甘いものをよく食べたり歯磨きをし忘れたりと虫歯になりやすい条件がそろっています。
そこで定期的に歯科医院でフッ素塗布をすることで、歯質そのものを強くし、虫歯になりにくい歯にする効果が期待できるのです。
歯磨き剤と歯科医院のフッ素の違い
子供用の歯磨き剤には、最近ではほとんどフッ素が配合されています。ただし歯科医院で塗布されるフッ素と全く違うのは、その濃度です。歯科医院でフッ素を塗布すると、3か月から6か月は効果の持続が期待できます。
また就寝前に歯に塗布する、すすがないタイプの子供用のフッ素剤が市販されていますが、やはり歯科医院で塗布されるフッ素剤とは濃度が全く違うものです。
市販のフッ素剤は、基本的に毎晩寝る前に塗布されることが推奨され、りんご味やぶどう味など甘いタイプではあるものの、すすがずに寝ることから子供が嫌がったり、子供の体への影響を心配して毎日使うことを躊躇する保護者も少なくありません。
3か月から6か月に1回の塗布であれば、体への影響もあまり心配せず受けられることから、歯科医院で塗布を受けさせる保護者が多いようです。
歯科医院でのフッ素塗布の受け方
子供の歯の定期検診に合わせ、3か月から6か月に一度くらいの塗布が理想です。最近の歯科医院では子供の歯の定期検診の際、同時にフッ素塗布を勧められることが多いです。
処置は非常に簡単で、りんご味などのフッ素ジェルを綿棒や歯ブラシにつけて歯に塗るだけなので、あっという間に済み子供も嫌がりません。
費用は自己負担で1000円程度のところが多いようですが、自治体で補助を出しているところもあります。また最近では、子供の定期検診の際にサービスで塗布してくれる歯科医院も出てきています。
ただ注意しなければならないのは、成分の浸透のため塗布後30分程度は飲食を避ける必要があることです。
子供の場合、暑い夏場などうっかり水筒のお茶を飲んでしまったり、帰りに寄ったスーパーで目を離したすきに試食をしてしまったり、という失敗がありがちなので保護者は注意が必要です。
毎日の歯磨きももちろん大事
ただし歯科医院でフッ素塗布をしたからといって、日々の歯磨きをおろそかにするのは本末転倒です。子供のうちにしっかりと歯磨きの習慣をつけるのは、成人後の歯の健康のためにも大変大事なことです。
フッ素入りの歯磨き剤で毎食後にきちんと歯磨きをすることで、歯の再石灰化を促し、歯を溶かしてしまう虫歯菌の酸の生成を抑えることができます。フッ素入りの歯磨き剤を使ったら、すすぎは軽めにすることでフッ素の効果をとどめやすくなります。
毎日の歯磨きと合わせ、定期的な歯科医院での検診とフッ素塗布で子供のうちに強い歯を作り上げることで、成人後も健康な歯を保つことができ、高齢になっても入れ歯いらずの生活を送ることができます。
一生使い続ける大事な歯、子供のうちに保護者の方が適切なケアを受けさせてあげることが大切です。
まとめ
フッ素塗布で虫歯のできにくい歯に
フッ素の働きについて
なぜ子供の歯にフッ素塗布をするか
歯磨き剤と歯科医院のフッ素の違い
歯科医院でのフッ素塗布の受け方
毎日の歯磨きももちろん大事