発達障害のお子さんをお持ちのご両親は、ある時、ふと何かのきっかけで、「ひょっとして、自分も発達障害なのでは…?発達障害は遺伝するの?」などと悩むことがあるかもしれません。
ここでは、 発達障害 が 遺伝 するかどうかについてご紹介いたします。
親の悩み:発達障害って、遺伝するの?
疑問を感じるきっかけ
発達障害って、遺伝?という疑問を感じるきっかけは、子どもの言動や様子、特徴が、自分にも似ている?とふと感じる場合や、自分の親から子どもの特徴や傾向が、あなたと似ている、と言われた…といった場合があります。
子どもの様子に、「あれっ?自分も、子どもの頃にもそういう事があった…そういえば、自分も人と違う行動ばかりしていたような…」というように、子どもと自分の過去を重ね合わせてしまうときがあります。それが、「発達障害は遺伝するの?」と感じるときではないでしょうか。
どんな傾向がある?
発達障害にもさまざまな傾向がありますが、よく見られるのが、注意欠陥多動性障害(ADHD)や学習障害(LD)の特徴である、落ち着きがない、人付き合いが下手、忘れ物が多い、ルールが守れない(勝ち負けにこだわる)、気性が激しい(怒りやすい)、特定の物事が何度やっても覚えられない…といったものがあげられます。
つまり、発達障害を持つ場合は、身の回りのことが自分でできないことや、他人とのコミュニケーションに課題を抱えることが多いようです。
これらの傾向の中で、自分でも経験がある、と感じるとき、発達障害は遺伝ではないか?と悩んでしまうことがあるのかもしれません。
実際に遺伝するの?
発達障害に関する研究において、発達障害が一部で遺伝するということが推測されています。ただし必ず遺伝するというものではありません。
また、生まれてくる子どもの性別でも、発症率は異なる(男:女=3:1という文献も。ただし研究・調査によりさまざま)などとも言われています。
また同じように、きょうだい間でも、発症する場合と発症しない場合があります。これは双子の場合なども言えるようです。(ただし、一卵性双生児の場合は、遺伝子が一致するため、発症率が7~8割と高くなるとの研究発表もあるようです)
つまり、発達障害の遺伝的要因は発症原因の一部である、というふうに理解した方がよいでしょう。
なお、発達障害の特性は、いわゆる「成長の凸凹」が顕著になったものとも考えることができ、一口に「落ち着きがない」といっても、その程度はさまざまであり、単に落ち着きがないからといって、直ちに遺伝であると断定することはできないでしょう。
遺伝はあっても親の育て方が原因ではない
もし、遺伝があるとしても、発達障害が親の育て方に原因があるかどうかについては別の問題であり、これについては、さまざまな文献で否定されています。
子どもが衝動的行動により学校などでトラブルを起こして、周囲(クラスの他の親御さんなど)から「おたくの育て方が悪いからでは」というような批判を受けた…これは発達障害を持つ子どもの親が経験しがちなことですが、これまでの研究で、発達障害は親の育て方が原因ではないとされています。
遺伝を悩むより大切なこと
発達障害が遺伝するかどうか、については、これまでの研究や文献からすると、遺伝する可能性はあります。しかし、必ずしも遺伝するわけではないということを考えることが大切です。
また、子どもの発達障害は自分の遺伝ではないか、と悩んでいても、子どもが発達障害であることは、親を含めて、誰の責任でもありません。
また、もし遺伝であったとしても、親だからこそ、自分のこれまでの失敗経験、成功体験、そういった自分の今までの人生で培ってきた経験の蓄積が、これからお子さんのためにきっと活かせることでしょう。
たとえば、周りの子達の輪になかなか入りづらかった、コミュニケーションが苦手だったといった経験があれば、それをどのように克服したか、どのように考えればよいか、お子さんがもし同じような問題に直面したときに、自分自身が共感できるし、お子さんに対しても、良いアドバイスができるかもしれません。
発達障害を持つお子さんを育てる親にとって、そんな風に考えると、子どもを育てることの大切さを、前向きに考えられるのではないでしょうか。
まとめ
親の悩み:発達障害って、遺伝するの?
疑問を感じるきっかけ
どんな傾向がある?
実際に遺伝するの?
遺伝はあっても親の育て方が原因ではない
遺伝を悩むより大切なこと