ひな祭りの歌として最もポピュラーなのは「うれしいひなまつり」でしょう。幼稚園や保育園で ひな祭り の時期には必ず歌われる歌です。「あかりをつけましょぼんぼりに」という歌いだしのこの歌は古くから日本で歌い継がれています。
この「うれしいひなまつり」の歌や 歌詞 にまつわる興味深い話を3つ、ご紹介いたします。
ひな祭りの歌や歌詞にまつわる興味深い3つの話
「うれしいひなまつり」ってどんな歌?
誰もがご存知の「うれしいひなまつり」の歌は1936年(昭和11年)に生まれた歌です。作詞はサトウハチロー(山野三郎)さん、作曲は河村光陽さんです。
サトウハチローさんといえば他にも有名な歌をたくさん作詞されていますので、いくつか挙げてみましょう。童謡では「ちいさい秋みつけた」、「とんとんともだち」、「わらいかわせみにはなすなよ」、歌謡曲では「リンゴの唄」、「悲しくてやりきれない」などはご存知の方が多いでしょう。
また「中日ドラゴンズのうた」も作詞されています。「うれしいひなまつり」の歌詞はサトウハチローさんが娘のために雛人形を買ったころに書かれたものだそうです。
「うれしいひなまつり」というタイトルなのにこの歌はマイナー(短調)で、物悲しい雰囲気なのはなぜ?と疑問に思う方もいるようですが、日本の童謡には「さくらさくら」、「赤い靴」、「月の砂漠」、「おさるのかごや」など歌詞の内容に関わらずマイナー調の歌は多いのです。
1.「お嫁にいらしたねえさま」って誰のこと?
2番の歌詞に「お嫁にいらしたねえさまによく似た官女の白い顔」とありますが、お嫁にいらしたねえさまとは誰のことなのでしょうか。
そもそもこの歌を聴いたときに「お嫁にいらした」という歌詞の意味が「よそにお嫁にいった」という意味か「我が家に嫁いできた」という意味のどちらで受け止めるかというのは人それぞれ違うようです。
「いらした」という言葉はどちらの意味にも使われる言葉です。実はサトウハチローさんには4歳上の姉がいて、婚約が決まってから肺結核で亡くなってしまったそうです。
この歌にはその姉への想いが込められているので、正しい解釈は「お嫁にいってしまったねえさま」ということになります。実際にはお嫁にいく直前に亡くなってしまった姉を歌の中だけでも嫁がせてあげたかったのですね。
2.サトウハチローさんは勘違いしていた?
この歌の歌詞には間違っている部分が2箇所あるといいます。
1つめは2番の歌詞の「お内裏様とお雛様ふたりならんですまし顔」という部分です。本来の意味では「お内裏様」というのは男雛と女雛の両方を指している言葉で、「お雛様」というのは雛人形全体を指す言葉なのです。
しかしこの歌の中では男雛のことをお内裏様、女雛のことをお雛様と歌っています。
2つめは3番にでてくる「赤いお顔の右大臣」という部分で、実際には赤い顔をしているのは左大臣のほうなのです。
この2つの誤りはサトウハチローさんの勘違いだったようですが、あまりにもこの歌がポピュラーになりすぎて間違った解釈が全国にどんどん浸透してしまいました。サトウハチローさんはそのことをずっと気に病んでいたようです。
3.「うれしいひなまつり」は海外でカバーされている?
メキシコ人は「うれしいひなまつり」のメロディーを聴くと自国の歌だと思う人が多いのだそうです。それは有名なラテン音楽を歌う3人組の「ロス・パンチョス(LOS・PANCHOS)」が「哀しきみなしご」というタイトルで「うれしいひなまつり」のメロディーをつかった曲を演奏しているからなのです。
ロス・パンチョスという名前をご存知ない方でも「ベサメムーチョ」、「キサスキサスキサス」というラテン音楽ならご存知の方も多いのではないでしょうか。
「世界の民謡・童謡」というサイトで聴くことができるので、ぜひ聴いてみてください。
まとめ
ひな祭りの歌や歌詞にまつわる興味深い3つの話
「うれしいひなまつり」ってどんな歌?
1.「お嫁にいらしたねえさま」って誰のこと?
2.サトウハチローさんは勘違いしていた?
3.「うれしいひなまつり」は海外でカバーされている?