思春期から成人の女性によく見られる貧血が「鉄欠乏性貧血」ですが、実は成長期の子どもにも「鉄欠乏性貧血」を発症している場合がよくみられます。
検査 の値と 貧血 の関係、貧血を予防するにはどうすればいいのか、についてくわしくみていきましょう。
親子で気をつけたい鉄欠乏性貧血!検査で分かる?
貧血の目安は「ヘモグロビン濃度」の値
一般的に行われる貧血の検査では少量の血液を採取し、「ヘモグロビン濃度」を調べます。これは血液1dlの中にどれくらいのヘモグロビンがあるか、を調べる検査です。成人男性の場合は14g以下、成人女性は12g以下、高齢者は11g以下が「貧血」と診断されます。
子供の場合、思春期ころの男児では12g以下、15歳以上は成人と同じく14g以下、女児の場合は成人と同じ12g以下という値で「貧血」だと診断されます。乳幼児の場合は11g以下が貧血の目安となっています。
ヘモグロビン濃度以外にも、血液検査によって貧血かどうかを知るには「赤血球数(RBC)」「ヘマトクリット(Ht)」「平均赤血球容積(MCV)」が参考になります。
子供の貧血に早く気づくために気をつけたいこと
めまいや立ちくらみなど、大人であれば自覚症状で検査を受けることも可能です。ですが、上手に自分の思いを表現できない子供の場合には、大人が子供の様子をよく観察することが大切になります。子供が貧血になると、どのような症状が出るのかを知っておきましょう。
まず、貧血の症状としてあらわれやすいのが、顔色が悪い、疲れやすい、動悸・息切れをする、注意力・集中力が低下する、持久力・記憶力が低下する、舌炎・口角炎が起きる、「あっかんべー」をするとまぶたの裏が白い、という症状です。
顔色の悪さ、疲れやすさ、まぶたの裏の赤みチェックなどは普段からおこないやすいことですので、時々気にするようにしましょう。
貧血の症状が長引くと、さらに別の症状があらわれるようになります。それが、スプーン爪、味覚異常、粘膜の萎縮による嚥下障害、身長・体重が伸びない、認知力・記憶力の低下、といった症状です。
少しずつ症状が進むことで、なかなか異変に気づかないこともあります。普段から貧血を意識することで症状がひどくなる前に対策をしたり、食事で鉄分を摂取できるようにするのがポイントです。
子供が貧血になる原因は?
一般的に、生後6ヶ月以内の赤ちゃんには貧血は起きませんが、低体重で生まれたりママが妊娠中に貧血だったりした場合は生後6ヶ月以内の乳児にも貧血は起こります。思い当たる条件がある場合は、お子さんの様子に気をつけてあげてください。
離乳食開始前後のお子さんには、離乳食で摂る食事内に鉄分が少なかったり、好き嫌いによる偏食、急激な成長によって貧血が起きることがあります。一度で食べることができる食事量も限られていますから、上手に鉄分が摂取できるように食事に工夫をしてみましょう。
また、1歳ころまでに牛乳を飲ませたり、1歳以降でも大量に牛乳を飲むことで「牛乳貧血」が起きることがありますので、注意が必要です。
思春期になると「スポーツ貧血」になる子供が増えます。これは、激しい運動によって赤血球が破壊されてしまうことが原因です。
貧血に気づかないまま、激しい運動を続けているとけいれんや失神、最悪の場合には心不全に繋がってしまうこともあります。「たかが貧血」と思わず、心配であれば検査を受けておくようにしましょう。
さらに思春期には、女子は生理による失血やダイエットによる鉄分不足、男子は成長のために大量の鉄分・カルシウムが必要となることで、貧血の症状が出やすくなりますので、気をつける必要があります。
まとめ
親子で気をつけたい鉄欠乏性貧血!検査で分かる?
貧血の目安は「ヘモグロビン濃度」の値
子供の貧血に早く気づくために気をつけたいこと
子供が貧血になる原因は?