初めての妊娠と出産は、新しい命を授かることへの期待や不安だけではなく、育児休業に関わる書類をいくつも記入するので、社会の一員であることを実感する機会ともなります。
育児休業等取得者申出書 は何のために、誰がどこへ提出するのでしょうか。
育児休業等取得者申出書は何のためにどこへ出す?
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育児休業中は2つの社会保険料が免除になります
育児休業とは、出産の6週間前から産前休暇、出産後8週間までの産後休暇、産後休暇終了の翌日からの育児休業のことを総称して呼びます。これらのお休みの期間は、健康保険料と厚生年金保険料が免除になります。
毎月総支給額から1割くらいは社会保険料と呼ばれる給与天引きが発生していたことを確認してください。これらのうちの2種類の社会保険料が育休中は免除となります。
免除ということは毎月支払わなくてよいのに、健康保険は使用でき、厚生年金保険は年金受給期間に含まれるということになります。さて、これらはどのように手続きすれば免除が受けられるかご存知ですか。
育児休業等取得者申出書は会社が提出します
育休中の社会保険料免除は、出産をした証に自動で免除されるようなものではありません。きちんと書類を提出しなくてはなりませんが、その書類は事業主が従業員のものとして提出する必要があります。
実際出産する本人は書類を会社から受け取り、必要事項を記載したら会社へ戻すだけです。会社で給与厚生を管轄している人事部門が事由の都度、健康保険組合事務所や年金事務所へ書類を提出しているのです。
従業員個人がこのような管轄事務所へ自ら赴いても受け付けてもらえませんので、ご承知おきください。
では会社が提出書類を渡し忘れることがあるのではないか、と少し心配になるかもしれません。しかしそれはおそらく心配することなく書類を受け取ることができます。なぜなら社会保険料免除は従業員だけではないからです。
社会保険料免除は自分だけではなく、会社も嬉しい
社会保険料とは、細かくいくつもの社会保険を総称してこのように呼んでいます。そのうちの大半は会社と従業員が折半している状態であることをご存知ですか。自身の給与明細にて控除されている健康保険料は、そのほぼ同額を会社も支出してくれているのです。
健康保険組合や年金事務所には、自身が支払っている倍の金額を支払っているということになります。ですから、育休中の社会保険料免除は自分だけでなく会社にとってもありがたい制度なのです。
この書類を提出するのは事業主である会社ですから、これを提出しなくては会社も免除の恩恵を受けることができないのです。このような理由から、会社が従業員へ書類を渡し忘れるということは基本的にはないということになります。
金額にして大体これだけ支払い義務が免除されます
社会保険料が免除されるにあたり、どのくらいの金額が免除されるのかについては実感がありません。なぜなら給付金などはお金が入ってくるという実感がありますが、免除金額は手元から減る予定の金額だからです。
では実際産前休暇から子供が1歳になるまで免除を受けた場合どのくらい手元に残るかというと、1ヶ月の給与総額のおおよそ180%程度と考えるのが一般的です。給与総額が30万円だった方は180%である54万円くらいが手元に残るという感覚です。
これらは少子化に対する国の対策の一環であり、企業が妊娠出産を機に女性社員を解雇しないよう、また社会保険料が負担となり出産に消極的にならないように考えられた仕組みです。
免除されても年金受給に必要な期間にはカウントされます
健康保険料は支払うだけで老後の換金はありませんが、厚生年金保険料は老後に支給される老齢年金のベースとなりますので、少し気がかりかもしれません。
実際、厚生年金保険料が免除される期間は、年金算定期間にカウントされますので、25年という年金支払期間(現在は最低10年)に支障が出ることは全くありません。
一方で年金支給額は現在のところ年金納入期間と納入金額で算出されますので、社会保険料免除を受けたか受けなかったかで若干支給額に差異は出ると思われます。
しかし今後年金が支給されるのかどうかの心配の方が先に立っている昨今、差異は微々たるものと思われ、気にするまでもないかもしれません。
まとめ
育児休業等取得者申出書は何のためにどこへ出す?
育児休業中は2つの社会保険料が免除になります
育児休業等取得者申出書は会社が提出します
社会保険料免除は自分だけではなく、会社も嬉しい
金額にして大体これだけ支払い義務が免除されます
免除されても年金受給に必要な期間にはカウントされます