近年テレビや新聞で育児放棄・児童虐待などが原因で児童相談所による対応に関するニュースを頻繁に目にするようになりました。残念ながら児童相談所が迅速に一時保護していれば助かる命だったのではと感じる事件も多々あります。
今回は 児童相談所 における 一時保護 を紹介します。
一時保護など子供の命も左右する複雑で困難な児童相談所の対応(前編)
- 目次 -
児童相談所とは?
児童相談所とは18歳未満の子どもを対象に児童福祉法第12条の規定に基づき児童が心身ともに健やかに生まれ、かつ育成されるよう努めていかなければならないとして都道府県及び指定都市に設置が義務付けられている児童福祉の専門機関です。
相談内容は養護、保健、障害、非行、育成など多岐にわたり、内容に応じて児童福祉司、児童心理司、医師、保健師、児童指導員、保育士などが対応することとなります。相談内容ごとに子どもの一時保護や里親探しなどの任務も課せられます。
命を守るための一時保護
厚生労働省は児童相談所の職員の資格について、「自らの職責の重大性を常に意識するとともに専門的態度、専門的知識および専門的技術を獲得するよう努めなければならないものとする。特に所長は子どもを守る最後の砦として一時保護や親子分離といった強力な行政権限が与えられた行政機関である児童相談所の責任者であり、その判断はこれを誤れば子供の命を奪うことにもつながりかねない極めて重大なものである。所長はこうした極めて重大な権限行使の最終的判断を担うという職責の重大性を常に意識し業務に従事することが必要である」と定義づけています。
原則的に一時保護の決定は保護者や子どもに保護の理由、目的、期間、入所中の生活などについて説明して同意を得る必要があるとされています。
ただし緊急保護(虐待、家出、棄児、放任などの理由)の場合など子どもを放置することが福祉を害すると認められる場合にはその限りではないとしています。
一時保護の期間は基本的に最長2ヶ月とされています。しかし児童相談所長や都道府県知事などが必要に応じて保護期間を延長することができます。一時保護は単純に被害元である人物や場所から非難させるだけのために場所を提供しているわけではありません。
一時保護期間中には被害の根源である人物(主に保護者)などが態度や考えを改めさせるための直接的指導、またはコモンセンスペアレンティングと呼ばれる支援プログラムが児童福祉司などを中心に行われることとなります。
または必要に応じて警察や医療機関などに対応を委託するなどの調整を図らなければなりません。
そして一方では一時保護をした子どもへのケアも必要となります。
普通の家庭・学校環境の中で生活している私たちとはまったく違い心に重い傷を負った状態の子どもたちが多いため、一時保護所に保護される期間中その子どもの精神状態が安定するように十分留意して対応していく必要があるのです。
入所してすぐには健康診断をおこなうことで虐待などにおける被害などを十分把握するとともに、入所後の身体的安定を図れるように対応しています。
また教育面においても入所前には十分な学習環境を設けてもらえていない子どもも多くいるため、入所後は一人ひとりどのような学習展開が適しているかなど協議をして対応していくなど子供が受けるべき就学の権利を確保できるように十分な配慮がされることとなります。
まとめ
一時保護など子供の命も左右する複雑で困難な児童相談所の対応(前編)
児童相談所とは?
命を守るための一時保護