上あごの歯と下あごの歯の間で歯と歯が出合う位置関係を 噛み合わせ といいます。この部分がうまくはたらかないと食事のそしゃくだけでなく、さまざまな活動に影響をおよぼすことが知られています。お子さんの健全な成長に寄与することもあるでしょう。
そのいくつかを紹介してつつ、噛み合わせの大切さをお知らせします。
意外なところに影響する噛み合わせ
噛み合わせは食べるために欠かせない
上あごと下あごからぞれぞれ生えている歯を使い、上下の歯で噛むことで食べ物をこまかくこなしていきます。これによって食べ物の消化をよりスムーズにできるようにします。この噛むための上下の歯の位置関係を噛み合わせといいます。
これがいつも良い状態に保たれていると、食べ物の消化・吸収がよく、健康の維持につなげることができます。歯ならびを維持していくことは、噛み合わせにも大きく影響します。
特にお子さんの発育には、歯の健康とともに噛み合わせをしっかり維持していくことが求められます。歯はかたくほとんどその形状は変化しないように思えます。しかし、口の中の細菌などによって、清潔を保たないとつねにさまざまな障害にさらされてしまいます。
子どもと噛み合わせ
とくにお子さんの場合には、歯みがきの習慣や歯を維持することの意識を身につけられるしていかないと虫歯が生じやすくなります。
虫歯は歯の形状を極端に変えてしまう主原因といえます。虫歯や歯の治療による詰め物により、それまでの噛み合わせは簡単に変わってしまいます。
歯のはたらきと噛み合わせ
歯は一点でのみ上下が合っているように思われがちです。とくに前歯については噛み切ることが主眼ですから、ほぼそれでよいのかもしれません。とくに糸のように細いものを噛み切るときには、一点に力を集中させることが求められます。
その一方で、奥歯(臼歯)の場合には少し事情が違います。奥歯のはたらきのおもなものは、すりつぶすことです。
したがって、上下させることで食物の形状をただ変えるだけでなく、上下左右に半ば自由にあごを動かすことで、食べ物をすりつぶす臼と杵のようなはたらきがあります。前歯とくらべて奥歯の表面は、食べ物と接触する面がひろがったかたちをしています。
噛み合わせは歯の総合力
奥歯の場合にはより複雑な形状でありながら、よく見ると食べ物を多くの支点でしっかり保持しつつ、平面ですりつぶすという複雑な動きを持ち合わせています。
このように前歯と奥歯がお互いに機能を分担し補完し合い、協働することでそしゃくがうまく進みます。
運動にも欠かせない
じつは噛み合わせをしっかりたもつことは、食べることだけでなく、さまざまな活動や運動にもよい効果が生じます。
人は無意識のうちに、ここで集中して力を一気に出そうとする際に歯をくいしばります。上下の歯、とくに奥歯をしっかり噛みしめます。
こうして力を加えることに意識を集中させます。歯を食いしばることを通じて、筋肉を総動員させて瞬発力を高めて、効率よく力を伝えることができます。同じことを口をあけたままやろうとしてもうまくいかないはずです。
たとえば、野球選手が投手の投げたボールにバットを当てる瞬間や、ラグビーで相手に向かってスクラムを組んで相手スクラムにあてる瞬間などは、奥歯の間にとても大きな加重がはたらきます。
スポーツ選手などは、そうした力を絶えず歯にかけています。そのため選手自身もそのことを認識していて、歯を健全に保つことの大切さ、メンテナンスに余念がありません。
噛み合わせはとても大切
このように力が加わる噛み合わせですから、健全な状態をいつも保つことが求められます。お子さんの噛み合わせをたもつには予防歯科を通じて指導してもらったり、点検してもらったりするといいでしょう。
噛み合わせがしっくりいかない場合には、歯科医にほんの少し調節してもらうだけで、格段によくなることがあります。
まとめ
意外なところに影響する噛み合わせ
噛み合わせは食べるために欠かせない
子どもと噛み合わせ
歯のはたらきと噛み合わせ
噛み合わせは歯の総合力
運動にも欠かせない