「三つ子の魂百までだから親の育児の仕方はとても重要」などと言われますが、果たして何か根拠があるのでしょうか。確かに幼い頃の家庭環境によって子供の成長の仕方はさまざまと言えるでしょう。
それは何が原因で成長の変化があらわれるのでしょうか。今回は「 三つ子の魂百まで 」を紹介します。
「三つ子の魂百まで」は科学的根拠があるの?
間違った解釈で使われている「三つ子の魂百まで」?
辞書では「三つ子の魂百まで」ということわざの意味を調べると、幼い頃の性格は年を取っても変わらないという意味で使われます。
三つ子とは3歳の子供だけを指すのではなくいわゆる幼い子を意味します。魂には心・知恵・根性を意味して、百とは一生を意味しています。
近年では知識・能力など勉強面での意味合いでこのことわざが使われることも多い傾向にあります。しかし本当の意味は性格形成に対して使うことわざであり、幼い頃に習ったり覚えたりした知識などに対して使うことは正しとはいえません。
海外でもイギリス人の詩人の言葉で「The child is father of the man(子供は大人の父である)」という言葉があります。
日本の三つ子の魂百までに値する考えは海外でも根付いているということです。
3歳までが知能形成がされる?
人間の脳内ではシナプスと呼ばれる多くの神経細胞が伝達信号を送り合うことで情報のやり取りをしています。この活動が人間の思想や感情など性格の基盤となるものを構築します。
多くの経験や体験を通じてシナプスの活動が活発になり数も増加します。活動が活発であるほど脳の育成により大きく影響してくるということです。
脳科学の研究の結果でもその活動が最も活発な時期が1歳から3歳頃までと言われていて、人間の脳発達の中でも最も重要な時期ということが証明されているため「三つ子の魂百まで」ということわざは科学的根拠にも基づいているということです。
シナプスの活動を活発にさせるためには?
伝達細胞であるシナプスの活動を活発にさせて性格形成を豊かなものにしたい場合はどのようにすれば良いのでしょうか。
赤ちゃんが言葉を話し始める時期には個人差がありますが、一般的に1歳すぎから2歳前後と言われています。
生後2ヶ月以降4ヶ月くらいまでは「あー、うー」といったような喃語(なんご:赤ちゃんが発する意味を持たない言葉)の中でも母音を発するだけのものが、生後5ヶ月くらいを過ぎると「ばー」「ぶー」のような子音を発するようになります。
その後「まんままんま」「わんわん」といった少し意味を持つような繰り返しの言葉を発するようになります。この言葉の上達は赤ちゃん自身が言葉を発したいという思いが強い子は特に発する数や回数が多いと言われています。
その背景には赤ちゃんが眠る前などに読む絵本の読み聞かせや積極的に家族が話しかけたり接する時間が多いということも影響します。
特に感情豊かに接することは赤ちゃんの脳にも大きな刺激となります。赤ちゃんはよく目にしたものをまねたり、同じことを何度もやる傾向にあります。そういった行動は脳の中のシナプスによって活発に伝達されて刺激として蓄積されたことでできる行動です。
1歳から3歳までという年齢の間は、話す・歩く・書く・一人でトイレをするなど人生の中でも最も急激に変化を迎える時期と言えます。こういった行動を覚え始めることも家族を始め周辺から見たり聞いたりすることでたくさんの刺激となってやり始めるのです。
三つ子の魂百までと言われるように成長著しいこの3歳くらいまでの幼い時期に、生育環境の中でより多くの経験や体験、目にしたことによって、その子の性格や思考力など感情に作用する部分がほぼ出来上がると言われています。
近年では食事を与えない、排泄処理をしない(オムツを替えない)など子供と接することを極力避けて満足な育児を行わないという育児者も増えています。そういった生育環境にいた子供は保護された直後、表情・感情も乏しく、口数も少ないと言われます。
それは外部との接触を避けて親からも十分な愛情を注がれていない我慢と制圧から無意識のうちに感情の起伏が乏しくなってしまっているのです。幼い頃に受けたこういった体験の中で形成された性格は年を追っても変えることは大変難しいと言われています。
それだけこの時期の生育環境や育児者の接し方の影響はその子の性格の土壌づくりに大きな影響があるということを親としても十分に理解した上で育児を行わなければならないということなのです。
まとめ
「三つ子の魂百まで」は科学的根拠があるの?
間違った解釈で使われている「三つ子の魂百まで」?
3歳までが知能形成がされる?
シナプスの活動を活発にさせるためには?