生まれてから生後3、4ヶ月の赤ちゃんは、寝ている時や大きな物音、突然の出来事にビクッと怯え、手を上に伸ばして手のひらをいっぱいに広げます。これは何のサインなのか。赤ちゃんの可愛らしい モロー反射 はなぜ起こるか、調べてみました。
赤ちゃんの可愛らしいモロー反射はなぜ起こる?
原始的、生理的反射で生後4ヶ月頃には消えていきます
生後間もない赤ちゃんは1日14時間から18時間の睡眠が必要です。寝ているときは静かにしておいてあげたいのですが、赤ちゃんは布団に寝かせ直す時のちょっとした刺激や、大人には気にならないような物音でビクッとします。
そして大抵ビクッとした後には、頭の上にあげている手のひらを大きく広げ、まるで抱っこをして欲しいかのような仕草をします。これは赤ちゃんがびっくりしているというよりは、外敵から身を守るために無意識に、本能的に行う動作なのです。
原始的反射や生理的反射と呼ばれ、生後3ヶ月頃までは続きますが4ヶ月をすぎるとだんだんモロー反射が見られなくなっていくのが一般的です。
他にも原始的な反射はいくつかあります
モロー反射以外にも、赤ちゃんの生後間もない時期だけに見られる可愛らしい反射がいくつかあります。それは例えば、赤ちゃんが手のひらを開いているときに、人差し指をそっと差し出してみると、人差し指をぎゅっと握り返してきます。
これは把握反射といって、手のひらに何かが触れた時に反射的に握りしめる動きなのです。
また離乳前の赤ちゃんは母乳か哺乳瓶を頻繁に吸っていますが、その時に赤ちゃんの口に綺麗な指を差し出してみてください。赤ちゃんは口に入ったものに反射的に吸い付く吸てつ反応を起こします。
これらのように、赤ちゃんにはいつくかの原始的で無意識のうちに行われる反射反応があり、生後4ヶ月頃を境にだんだんとこれらの反射がなくなっていくのです。
モロー反射は疾患に気づくチャンスでもある
原始反射と呼ばれる幾つかの反射は、生後3ヶ月検診などで小児科医が試してみる反射でもあります。
小児科医が赤ちゃんに原始反射が現れるかを確認する理由は、原始反射が起きるか起きないかによって脳性麻痺や点頭てんかんなど重要な疾患を抱えているかどうかについて初診を行なっているのです。
モロー反射と点頭てんかんは発症時期や発生時の動作が非常に似ており、区別するのが困難とされている疾患です。モロー反射が現れない、もしくは生後4ヶ月を超えてもいつまでもモロー反射が見られる場合は注意が必要です。
もちろんすぐさま点頭てんかんであると診断することは難しいですが、このてんかんは悪性ですので重要な脳障害を引き起こしているかもしれないのです。
学術的な知識を持たない両親がモロー反射と点頭てんかんを疑うのは難しいことですので、もし気になる行動があるようでしたら、赤ちゃんには申し訳ないのですが外的な刺激を与えて試してみてください。
通常のモロー反射でしたらビクッとしますが、点頭てんかんであれば刺激があろうとなかろうとモロー反射に似た動作をするそうです。詳細は小児科医への早期相談をおすすめします。
モロー反射で思わず抱きしめたくなる
小さな赤ちゃんがビクッと怖がって手を広げてハグを求める姿は、思わず抱きしめたくなります。しかし赤ちゃんは無意識にモロー反射をしているだけですので、寝ながらモロー反射をしている赤ちゃんを逆に起こしてしまうことになるかもしれません。
一方でモロー反射が激しい時などは、赤ちゃんは泣き出してしまうこともあります。それは外部からの影響が大きかったか、自分のモロー反射に自分がびっくりしてしまったか定かではありません。
しかし怖がっていることは確かですので、赤ちゃんを腕の中にしっかり抱きかかえてあげれば大丈夫です。
人間の本能ってすごい
人間とは進化した動物であり、ほとんど本能というものは存在しなくなっているため、専門用語として本能という語はあまり使われないそうですが、モロー反射のような赤ちゃんに見られるいくつかの原始反射は本能と言えそうです。
本能とは自己判断を伴うことなく、環境の刺激によって起きる反応であり、あらかじめ学習することなく存在する性質です。人間の本能って神秘的ですごいことなのです。
まとめ
赤ちゃんの可愛らしいモロー反射はなぜ起こる?
原始的、生理的反射で生後4ヶ月頃には消えていきます
他にも原始的な反射はいくつかあります
モロー反射は疾患に気づくチャンスでもある
モロー反射で思わず抱きしめたくなる
人間の本能ってすごい