近年子供をもててもさまざまな理由から養育機能の低下をもたらしていることが問題となっています。子どもをもうけながらも子どもを一人の人間として育てあげる役割を放棄している親たちも増え乳児院に入所させざるを得ない状態も増えているのです。
今回は 乳児院 を紹介します。
乳児院に入所しなければならない悲しい実状(前編)
乳児院とは?
厚生労働省は乳児院を何らかの理由によって保護者の養育を受けられない乳幼児を養育する施設としています。乳幼児の基本的な養育機能に加え、被虐待児、病児、障害児等に対応できる専門的養育機能をもちます。
入所対象年齢は0歳から2歳児となっていますが、保健上、安定した生活環境の確保、そのほかの理由により特に必要のある場合には幼児も含むとされています。
長期の在所の場合は、乳幼児の養育だけでなく、保護者支援、退所後のアフターケアを含む親子再構築のための支援をおこなっています。
乳児院の現状とは?
厚生労働省の調査では全国を対象に平成25年度2月時点での乳児院への入所児童数を3,147人と発表しています。
その内訳は0歳児:875人(27.8%)、1歳児:1,118人(35.5%)、2歳児:783人(24.9%)、3歳児:268人(8.5%)、4歳児:77人(2.4%)、5歳児:20人(0.6%)、6歳児:5人(0.2%)、7歳児:1人(0.0% ※四捨五入となっています)なっていて、入所している平均年齢は1、2歳となっています。
そして入所時の年齢は0歳児:2,461人(78.2%)、1歳児:530人(16.8%)、2歳児:127人(4.0%)、3歳児:24人(0.8%)、4歳児:2人(0.1%)、5歳児:1人(0.0% ※四捨五入となっています)なっていて、平均年齢は0.3歳です。
より低年齢であるほど入所数が多いという悲しい結果となっています。
しかし乳児院の在所期間は1年未満:1,649人(52.4%)、1年以上2年未満:910人(28.9%)、2年以上3年未満:427人(13.6%)、3年以上4年未満:113人(3.6%)、4年以上5年未満:36人(1.1%)、5年以上6年未満:8人(0.3%)となっていて、平均在所期間は1.2年となっています。
比較的短い期間で納まっていることがわかります。それは乳児院の専門スタッフによる支援活動の尽力も大きな要因となっています。
また乳児院に入所する(入所総数:3,147人)原因で多いものは、母の精神疾患など:686人(52.4%)、その他の理由:547(17.4%)、母の放任・怠惰(たいだ:怠ける、だらしないこと):340人(10.8%)、養育拒否:217人(6.9%)、両親の未婚:195人(6.2%)、母の虐待・酷使:186人(5.9%)、破産など経済的理由:146人(4.6%)、母の拘禁:121人(3.8%)となっています。
やはり育児者として密に子供と関わっている母親が入所の理由となることが多いことが分かります。
乳児院に入所した児童の中(入所総数:3,147人)では、過去に虐待経験ありが1,117人で全体の35.5%となっています。その中でも育児放棄、育児怠慢、監護放棄などにあたるネグレクト:825人(73.9%)が最も多い割合となっています。
乳児院に入所した後、実父母との交流がまったくないという児童は19.4%います。非常に胸が痛い事実ではありますが、一方ではそれ以外の児童は帰省:588人(18.7%)や面会:1,704人(54.1%)といった方法で交流が図られているそうです。
乳児院の入所対象年齢が低いこともあり、実父母との交流方法の中でも電話や手紙:244人(7.8%)といった方法はどうしても割合が少なくなってしまうようです。そして乳児院に入所させられた児童はその後どのような将来が待っているのでしょうか。
平成25年度2月時点での乳児院への入所児童数:3,147人の中で多い割合のものから、現在の乳児院での養育:1,324人(42.1%)、保護者のもとへ復帰:736人(23.4%)、児童養護施設へ:621人(19.7%)、養子縁組または里親委託:266人(8.5%)となっています。
一般的に実父母に戻されることが幸せと考えがちですが、乳児院に入所する理由として虐待経験あり:1,117人(全入所数の35.5%)などの割合が多いことを考えると、安易に実父母のもとに帰ることが最善とは言えない悲しい現実があるようです。
まとめ
乳児院に入所しなければならない悲しい実状(前編)
乳児院とは?
乳児院の現状とは?