シュタイナー教育は、約100年前にオーストリア出身の哲学者であり思想家のルドルフ・シュタイナーが提唱したものです。近年、日本でもシュタイナー教育に注目が集まっています。そこで今回は、 シュタイナー の幼児教育の基本的な考え方を紹介します。
初心者のための「シュタイナーの幼児教育」基礎知識
シュタイナーの基本的な考え方
シュタイナーは、人間の成長には、生まれてから7歳、14歳、21歳までの7年ごとのサイクルがあると考えていました。
特に、7歳までの子供には、大きな刺激は与えずに、心を落ち着けて安心して暮らせる環境を作ることが重要だと考えました。また、シュタイナーによると、この時期の子供は、自分の見聞きしたものをどんどん吸収して、模倣しながら成長していくとのことです。
ですから、周りの大人たちは、子供が見ているということを頭において、日々過ごしていかなくてはいけません。さらに、シュタイナーは生活のリズムを整えることも重要だとしています。1日、1週間、1ヶ月、1年と決まったルーティーンを作ることで、子供が精神的に安定するそうです。
これは、起床時間、就寝時間、食事時間等を一定にするということだけではありません。何曜日にどの食材を食べるかという細かい部分から、この季節には何をするか等の年中行事に関すること等、様々なことについて決まったことを繰り返すことが大切だとされています。
シュタイナー的「自然で縛られない遊び」
シュタイナーは、子供は自由に遊ぶのが大切だと考えていました。これは、決まりに従うのではなく、子どもの自由な発想で遊ぶということです。遊び道具には、自然の素材を使って作られたものを使うそうです。
シュタイナーは、プラスチックで作られたおもちゃよりも木製のおもちゃを、そして、木製のおもちゃよりも、実際の木の枝のような自然のものを何かに見立てて遊ぶことを勧めています。実際のところ、シュタイナー教育を実践する幼稚園では、1日に2時間の自由遊びの時間があるそうです。
さらに、シュタイナーの教育では、子供に絵本を見せることも禁止しているとのことです。理由は、子供が絵を見て話を聞くと、頭の中でイメージが固定されてしまうからです。
そこで、シュタイナーは素読を推奨しています。また、シュタイナーは、子供は自然の中でのびのびと遊ぶとこも重要だと考えていました。
シュタイナー的「優しいアートと音楽」
シュタイナーは7歳までは、字を覚えることや計算を練習することは、子供に悪影響を与えると考えていました。反対に想像力や感性を豊かにする絵を描くことが勧めています。
シュタイナーのアート・アクティビティーで有名なものに「にじみ絵」があります。「にじみ絵」で使用するものは十分に濡らした画用紙と赤、青、黄色の絵の具です。絵の具もできれば、子供が口に入れても大丈夫な自然の素材を使って作られたものを使用すると良いです。
にじみ絵は、子供が自由に3色の絵の具を画用紙に落としていくことで、色が混ざり合い、無数の色、表現が可能になります。色が混ざりすぎて、最後には紙が濃い茶色になってしまうことがあるそうですが、問題はないとのことです。
また、シュタイナーはピアノ等の既存の楽器は、幼児には刺激が強すぎると考えました。シュタイナー教育では、ライアーという子供でも持つことができる7弦の小さなハープのような楽器が使われています。
ライアーは、日本では映画「千と千尋の神隠し」のエンディングデーマ「いつも何度でも」で木村弓さんが弾き語りに使っていたことで一般にも知られるようになりました。
もっとシュタイナーについて知りたいときは?
さらに深くシュタイナー教育について知りたい方には、シュタイナー関連の本がたくさん出版されています。
今回は、その中で興味別に楽しめる3冊を紹介します。まず、シュタイナー自身が書いた彼の教育方法の入門書「子どもの教育」(筑摩書房)です。シュタイナー教育の初心者に、わかりやく説明してくれる一冊です。
次に、実際にシュタイナーの学校ではどのようなことを学んでいるかに興味を持った方には子安美知子さん著の「ミュンヘンの小学生—娘が学んだシュタイナー学校」(中央公論新社)がお勧めです。
最後に、もっと家庭でできるシュタイナー教育について知りたい方には、「おうちでできるシュタイナーの子育て:「その子らしさ」を育てる0−7歳の暮らしとあそび」(クレヨンハウス編集部)がとてもわかりやすいです。
無理せず、楽しくシュタイナー子育て
シュタイナーの教育方法を全て実践するのは難しいと思います。例えば、いつでも子供に見られていることを意識することや、テレビやパソコンのようなデジタルなものを子供に全く見せないというのは、とても大変だと思います。
ですから、パパやママが自分の感覚を信じて、子供の成長に良いと思ったことを取り入れてください。そして、自分には出来ないという部分があっても、落ち込んだり、ストレスに感じたりしないことが大切です。
まとめ
初心者のための「シュタイナーの幼児教育」基礎知識
シュタイナーの基本的な考え方
シュタイナー的「自然で縛られない遊び」
シュタイナー的「優しいアートと音楽」
もっとシュタイナーについて知りたいときは?
無理せず、楽しくシュタイナー子育て